旅人の旅日記

バイク・青春18きっぷの旅諸々の旅の記録

人命救助するも自分も救助される 島根県益田市

この時は、ドゥカティ999に乗っていた。このドゥカティは買ってすぐ、山口県の大島にツーリングに行って何か違反して白バイに追尾されたけど気が付かず、やたら歩行者から見られているなぁ、やっぱ、新型ドゥカティは目立つか!って脳天気に思いながらトンネルに入ったらピーポピーポサイレンの音が響く。ミラーを見ると白バイがいた。ドゥカティのマフラーの音もノーマルだけど大きめで、ポジションも低いのでミラーでも全く気が付かなかった、ミラーの意味無し。1番点数の少ない青切符を切られて、おまわりさんには素直に謝った事があった。天気も良く、ドゥカティ999で島根県益田市の美都温泉に行く。気持ち良く湯船に浸かっていると、少し離れた所に居るお爺さんの様子がおかしい、給湯口から出るお湯の下でゆらゆらと漂っている。状況がよく分からず見ていると仰向けになって沈んでいった。溺れている。近くにいる人を呼んで協力してお湯から出すことが出来た。めちゃくちゃ酒臭い。助けたのは良いけど、自分で起き上がる事も歩く事もできない状態。人ってああやって簡単に死んでしまうんだ、って思った。虚な目でお湯の中からこちらを見る顔はもうこの世のものではないような気がした。救助車に乗せる時、救急隊員からお礼を言われた。気を取り直して温泉を楽しむ。帰り道、少し雨が降り出した。雨はほんの少しでバイクで走るのに問題は無い、皮のパンツに、半袖のTシャツでも。これ以上降ると面倒なので少し急いだ。路面は乾いてる、トンネルに入った、トンネルの中のコーナー、少しスピードが出ていると感じたので、フロントブレーキに軽く指二本で入力した、このトンネルは緩く左に曲がっていた。まず、左膝に衝撃を受け、左肩も強打しながら仰向けに濡れたトンネルの路面を滑っていった。バイクは対向車の車体の下に。身体はとても驚いたであろう対向車の前で止まった。驚いた対向車のドライバーが飛び出して来て、多分、大丈夫か?などと聞いて救助車を呼んでくれたのだと思う。この辺りからの記憶がない。警察官がバイクを押してくれたが、真っ直ぐ押せない、もうこのバイク駄目やなと言っていた。救急車に乗せられ救急車で浜田市の国立病院へ運ばれる、その時の救急隊員がさっき溺れた老人を病院へ運んでくれた救急隊員だった。救助隊員が、私に、もしかしたら貴方じゃないかと思ったと言っていた。幸い、バイクは廃車になり、ローンがまだ50万残ってしまったが身体はほんの少しの擦り傷程度、病院ではマキロンもつけてくれなかった。病院から家に電話、「ごめん」の一言で嫁は大体のことを察したようだ。2時間弱で浜田の病院に娘と一緒に来てくれた。息子はその日、ミスチルの野外コンサートがあるけど、コンサートに行って良いか聞いて来た。当然行って良いと伝えた。かすり傷でマキロンも塗ってもらえなかったのだ。病院から浜田の回転寿司屋に3人で行って暗い感じの晩御飯を食べて帰宅した。その後しばらくの間、トンネル、特に雨の日のトンネルを走るのが怖くなった、同時に普段の生活の中で自分はちゃんと生きているんだろうかと思う時が何回かあった、何か自分の影が薄くなっているような、本当はトンネルの中で死んでしまっているんじゃないかと。1ヶ月過ぎた頃、同じトンネルでハーレーも大きな事故を起こしたと聞いた。晴れていても、トンネルの中は、壁から染み出した水で濡れているという事だった。

 

温泉 美都温泉 美人の湯でぬるぬる系の湯 

   温泉のすぐ上に道の駅があり便利。